愛犬家の皆さんは、一度は犬の「くしゃみ」を聞いたことがあるでしょう。「犬もくしゃみをするんだ」と驚いた方もいるかと思います。
私たちは風邪を引いたときや、鼻がムズムズした際などにくしゃみをしますが、犬のくしゃみはどのようなときに起こるのでしょうか。風邪など体調不良以外にも、くしゃみをするのかも気になりますよね。
この記事では、犬のくしゃみについて元動物看護士が詳しく紹介していきます。
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犬のくしゃみは連発?単発? 考えられる原因とは
犬のくしゃみは「くしゅん」と一回だけ行うものと、「くしゅんくしゅん」と何度も連続して行うものとで、大きく原因を分類することができます。
では、単発のくしゃみと連発のくしゃみとでは、それぞれどのような原因が考えられるのか見ていきましょう。
たまに出るくしゃみは人の匂いが原因!?
犬は人間の何倍も嗅覚が優れている、という話は有名ですよね。
人が近づいたときにくしゃみをするのは、人の匂いが原因している場合がほとんどです。外で外食をしてきた、タバコを吸う、香水を使うなど、強い匂いがついていると鼻が刺激に反応してくしゃみをしてしまうことがあります。
このくしゃみは特に心配はいりませんが、刺激が強すぎることもあるため、なるべくワンちゃんと暮らす方は、強い香りのするもの愛犬の傍では使用しないようにすることをおすすめします。
連発する犬のくしゃみは風邪や病気の可能性あり
連続して何度もくしゃみをする場合には、風邪やアレルギー性鼻炎を起こしている可能性があります。
くしゃみのほかにも鼻水や元気、食欲の有無、便の状態などを良く観察してください。症状が長引いたり、悪化するようであれば動物病院を受診するようにしましょう。
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犬がくしゃみをするのは精神的な要因かも
犬のくしゃみは、精神的な要因から発せられるものもあります。これは人間とはまた違ったくしゃみの特徴ですので、愛犬家は是非知っておきたい知識です。
実際、どのような場合にくしゃみをするのか、詳しく見ていきましょう。
犬は興奮や嬉しい気持ちをくしゃみで表現する!
犬は遊びやじゃれあいなどで興奮しすぎた際、興奮を冷ますためにくしゃみをすることがあります。これを「カーミングシグナル」と言います。
カーミングシグナルの一環でくしゃみをすることは、脳が興奮しすぎた心を落ち着かせようとしているサインです。
このくしゃみは特に心配することではありませんのでご安心ください。
トリミングでくしゃみ? 嬉しいんじゃなくてストレスかも
犬は叱られたり、いやな場所に行った際にもくしゃみをすることがあります。これは、ストレスから身を守るための行動です。
また、くしゃみ以外にもあくびをすることもあります。
自律神経がストレスから身を守ろうと、まったく関係のない行動をとることで気を紛らわそうとしています。
トリミングに行った際にするくしゃみは、嬉しいものではなく多くは違う場所、違う人間に触られることを嫌がるストレスサインです。
「綺麗にしてもらえるのが嬉しいんだ!」と思いきや、ストレスを感じてしまっている可能性もありますので、混同しないように注意してください。
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くしゃみから考えられる犬の病気
犬がくしゃみをする場合には、体に何らかのトラブルを発生している可能性もあります。
くしゃみを伴う病気には、どのようなものがあるのか、症状などを詳しく見ていきましょう。
犬だって花粉症に? そのくしゃみアレルギーかも!
主に冬場に発症するスギ花粉は、花粉症の方にはたまったものではありません。
この花粉症、犬にも存在するってご存知でしょうか。意外と知らない飼い主さんも多いと思います。
犬にも「アレルギー」というものが存在し、食物アレルギーやアトピー、カビやハウスダストなど、アレルゲンとなるものは個体によって異なります。
アレルギーの中でも環境性アレルギーである花粉症は、くしゃみを症状に伴います。
花粉症の場合、連続してくしゃみを発します。
ほかにも花粉症でみられる症状は以下の通りです。
- 涙・鼻水が出る
- 体を痒がる
- 目の周りが赤くなる
- 皮膚が炎症を起こす
特に外に出ている際にくしゃみが多く見られる場合には、花粉症の可能性があります。
犬の花粉症は、動物病院で検査をすることができます。
花粉症は放っておくと症状が悪化してしまうため、花粉症かなと思ったら、早めに動物病院を受診するようにしてください。
>>>犬のアレルギー症状や治療法について解説しています!
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くしゃみで出た犬の鼻水と唾液が臭い!
くしゃみを連発し、黄色(膿)い鼻水を伴う場合には、歯周病の可能性があります。
これは、歯周病菌が鼻に入ってしまうために起こるくしゃみです。歯周病の場合には、ほかにも歯に黄色い歯石がついている、口臭がきつい、歯茎が赤く腫れているといった症状も多く見られます。
歯周病は放っておくと最終的に抜歯をしなくてはいけなくなってしまいます。
きちんと歯のお手入れをしているつもりでも、個体によっては歯周病になりやすい子もいるため、上記のような症状が見られた場合には、歯周病の可能性も疑いましょう。
>>>歯周病予防のためにも愛犬の歯磨きを徹底しましょう!
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高齢犬がくしゃみをしたら鼻水に鼻血が混ざってた…
くしゃみをした際に、鼻水に血が混ざっている際には特に注意が必要です。
鼻の中にできた悪性腫瘍が原因の可能性があります。特にシニア犬の場合、鼻以外の部位の腫瘍でも初期症状として鼻血が出ることがあります。鼻水に血が混じっていたからと言って必ずガンというわけではありませんが、繰り返すようであれば、一度動物病院を受診しておくと安心です。
くしゃみの他に下痢をしているようなら注意が必要!
犬のくしゃみに下痢を伴う場合、風邪だと勘違いして様子を見てしまうケースが多いのですが、中には肝炎やジステンパーといった、恐ろしい病気の可能性もあります。
犬伝染性肝炎は、犬アデノウィルス1型ウィルス感染から肝臓に炎症が起こります。
くしゃみや酷い下痢、嘔吐、発熱、肝臓の炎症などが見られ、最悪の場合は命に関わることのある危険な病気です。
犬ジステンバーウィルス感染症は、発症すると致死率が高く、治ったとしても後遺症が残ってしまう可能性があります。
症状としては、くしゃみ、鼻水、咳、発熱、下痢、嘔吐などです。いずれも感染症であり、症状が重く急激に悪化することも特徴です。
このようにくしゃみ以外にも酷い症状が見られた際には、直ちに動物病院を受診しましょう。
また、ほかのペットに感染する危険性があるため、事前に症状を電話で連絡してから連れて行くようにしてください。
>>>わんちゃんの下痢から考えられる病気や原因についての詳細はコチラ!
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犬のくしゃみの止め方は? 病院に行かなくても大丈夫?
犬のくしゃみには、心因的なものや一時的なものから、命に関わる病気まで様々です。一体何を目安に動物病院を受診したら良いかわからない、という飼い主さんも多いでしょう。
ここでは、同じくしゃみでもどのような違いで動物病院を受診するべきか紹介します。
犬がくしゃみをする原因を見極めよう
犬がくしゃみをした際、大切なのは原因を見極めることです。単発か、連発か、ほかに症状は見られるかなど、原因を絞り込んでみましょう。
興奮状態や鼻がムズムズしているくしゃみであれば、少しすれば収まります。しかし、アレルギーやストレスであれば何度も繰り返しくしゃみを発します。
また、病気であればくしゃみ以外にも何らかの異常が見られるケースがほとんどです。
くしゃみ以外にも気になる症状があれば病院へ
くしゃみを伴う症状の中には、伝染性肝炎など命に関わる危険性のある病気も存在します。
病気の場合には、くしゃみのほかにも発熱や下痢、嘔吐、痒みなど、何らかの異常が見られる場合がほとんどです。数日たっても症状が改善しない場合には、動物病院を受診しましょう。
また、症状が重い場合や悪化が見られる場合には、様子を見ずに動物病院を受診すると安心です。
病気によるくしゃみは予防接種で事前回避できるかも
上記でも紹介した命に関わる感染症である、ジステンパーや伝染性肝炎は、混合ワクチンで予防することができます。
混合ワクチンを打つことで、発症率を8割下げることができるとも言われているほどです。
混合ワクチンはほかにも命に関わる危険な病気の予防や、ほかの犬などからの感染を未然に防ぐことができるため、摂取しておくことをおすすめします。
>>>ワクチンについての詳細はコチラの記事をご覧ください!
関連記事:犬のワクチンの種類や病気との関連性を分かりやすく解説!
犬のくしゃみが気になった時は他に異常がないかをチェック!
犬のくしゃみは、強い香りによる刺激や興奮を冷ますためなど、心配のないものもあります。しかし、中には命に関わる危険のある病気である可能性もあります。
くしゃみを伴う病気は、ほかにも体調に何らかの異常が見られる場合がほとんどです。
くしゃみが収まらない場合には、大丈夫だろうという素人判断は避け、動物病院を受診するようにすると安心です。
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