愛犬がそろそろ歳かもしれない…そんな不安を抱えている飼い主さんもいるのではないでしょうか?今回は高齢犬は何歳からなのか、そして老化のサインやかかりやすい病気、老犬と過ごしていくためにはどうしたらいいかをまとめました。
高齢犬と呼ばれるのはいつから?平均寿命は?
高齢犬は何歳から?
犬が高齢犬、シニア犬と言われるのは何歳からなのでしょうか?
実は犬のサイズによって変わってきます。
9歳~10歳
9歳~10歳
6歳~7歳
犬の平均寿命は?
人間にも平均寿命があるのと同じで、犬にも平均寿命があります。犬の平均寿命も犬のサイズによって変わってきます。
また、室内犬なのか外飼い犬なのかによっても平均寿命が変わってきており、室内犬の方が寿命が長いとされています。理由としては、外飼い犬よりも室内犬の方がストレスが軽減されているからだと言われています。
13歳~15歳
犬種によって異なる場合があり、パピヨンやダックスフンド、トイプードルなどは平均寿命が14歳を超えていて、犬の中では長生きする犬種と言われています。
12歳~14歳
犬種によって異なる場合があり、ビーグルは比較的平均寿命が長いとされています。飼い主さんがしっかりと世話をして、病気にかからなければ20歳まで生きることも可能と言われています。
10歳程度
こちらも犬種によって異なる場合があります。ラブラドールレトリーバーは13歳前後と、大型犬の平均寿命の中では長寿な犬種もいますが、グレートデーンのような超大型犬では平均寿命が7歳前後と言われており、犬種の中では一番短いと言われています。
犬の老化のサインは?
老化によって、内蔵などからくる見た目や仕草の変化などはどんなものがあるのでしょうか?以下にまとめました。
内側からくる見た目の変化
聴力の低下
耳が悪くなった犬に起こる変化としては、下記の行動をとることがあります。
このような症状が起きたら、聴力の低下を疑ってください。
簡単に自宅でできる犬の聴力検査としては、犬の気づかない位置から音を出したり名前を呼んでみることです。これで振り向いたり耳を動かしたりすれば問題ありませんが、なにもリアクションがなかった場合は耳が悪くなっている可能性が高いです。
聴力が低下した愛犬に対しては、後ろから急に触ったりせずに必ず近くに人間がいることを知らせた上で触るようにすることや、散歩の際に車の音などに気づかない可能性があるので必ずリードを短くして持つことが大切です。
視力の低下
目が悪くなった犬に起こる変化としては、下記の行動をとることがあります。
このような症状が1つでも起きたら、視力の低下を疑ってください。年をとった犬は近視傾向になることが多く、上記のような症状が起きるようです。
視力の悪くなってしまった犬に対しては、びっくりさせないように急に触らないようにすることや、通路から植木鉢などの障害物をなくしてあげること、障害物を察知するためのヒゲを切らないこと、飼い主さんが常に寄り添ってあげたり、それが難しい場合は飼い主さんの匂いがする毛布やタオル、クッションなどを近くに置いてあげることが効果的です。
毛に艶がなくなる
毛に艶がなくなったり、薄毛になるのも老化の原因のひとつです。
自然に起こることではありますが、紫外線から身体を守ったり体温調節をする役割がある毛も犬にとっては大事な身体の一部です。そのため、日々のケアとして、ブラッシングやマッサージをこころがけるようにしてください。
そうすることで、血行促進を促し、毛に栄養を行き渡らせることができます。
皮膚にハリがない
皮膚にハリがなくなり、お腹がたるんでぷにぷにするのも老化によるサインの可能性があります。
全体的な筋力が低下し、お腹にお肉が集まってしまったり、基礎代謝の低下により脂肪が蓄積してお腹のお肉が多くなったりします。
しかし、他の部分は引き締まっているのにお腹だけたるんでいる場合は病気を疑ったほうがいいかもしれません。
ガンや子宮蓄膿症など、さまざまな疾患によりお腹に水が溜まってお腹が膨らむといった症状が出ることもあります。このような場合は獣医さんによる治療を受けましょう。
目やにがふえる
毎朝、愛犬の目にすごい量の目やにが出るようになったら老化のサインかもしれません。
老犬になると代謝が衰え、目に必要な栄養が運ばれなくなってしまい、目やにが多く出てくることがあります。
また、人間が歳を取るとドライアイになりやすいのと同じように、犬も歳を取るとドライアイになりやすく、目やにがたくさん出てしまうのです。
そのような場合は、ぬるま湯で濡らしたタオルで目やにを優しく拭き取って清潔に保ってあげてください。面倒で放置すると目元がただれて目の周りの肌の色が変色してしまいます。
しかし、どろどろとした目やにのようなものが1日に何回もでる、拭いても拭いても出てくるという状態の場合は感染症の恐れもあるので、その場合は獣医さんに見てもらいましょう。
散歩の時間が短くなる
いつものお散歩コースを歩いていても、すぐに帰りたがるようになるのも老化のサインかもしれません。長時間の散歩は老化が始まった犬にとってはかなりの負担になるのです。
口臭がきつくなる
犬も人間と同じように、歳を取ると唾液の分泌量が減っていきます。唾液が減ると口の中が乾燥しネバつきやすくなって、口内に汚れが残るので歯垢や臭いの原因になります。老犬の口臭が気になるのはこのような理由があるのです。
歯垢をそのままにしておくと、固くなって歯石になり歯周病の原因になります。歯石を除去するためには全身麻酔をかけて行わなければならないため、普段から歯磨きを欠かさないようにしましょう。
食欲の変化
老犬になると若い頃に比べて食欲が落ちていきます。それにはさまざまな理由があり、そのひとつに「代謝の低下」があります。
老犬になると筋肉量が落ちて内臓の機能も徐々に低下していきます。そのため、代謝量が落ちて今まで必要としていたカロリーの量が低下します。身体を動かさなくなる分、食べる量が減るということです。
また、犬も人間と同じように歳を取ると味覚や嗅覚が衰えていくため、若い頃と違って食べ物の匂いや味を感じにくくなり、その結果食欲が落ちます。ほかにも、歯が抜けたり歯周病の痛みで食欲がわかないなどの理由も食欲低下の原因として挙げられます。
老犬になって食欲が落ちたからといって、必ずしも病気を疑うことはありません。その目安が体重の変化です。若い頃と比べて大幅に体重が減っている場合は動物病院に相談するようにしましょう。
目が白っぽく見える
目が白っぽく見えるのは、白内障という病気の可能性が非常に高いです。
犬が中年期に入る頃からゆっくりと進行する病気で、初期の段階では症状がなにもなく、行動にも変化がないため見落としがちです。
症状が進行してくると、歩くのがぎこちなくなったり、物や段差にぶつかりながら歩くようになるなど、歩行に異常が見られます。
治療法としては、初期の段階であれば目薬をさすだけでいいのですが、これは白内障の進行を遅らせるものであり、治すことはできないようです。
症状が進行してしまい、目の半分以上が白く濁ってしまった場合は手術が必要になります。
しかし、老犬にとって手術はとても負担になります。
難しいですが、早期発見をしてあげることが愛犬のためになるので、できれば5歳頃になったら定期的に目の検診をすることをおすすめします。そうすることで、眼の異常にすぐに気づいてあげることができます。
特に白内障になりやすい犬種としては、トイプードルやシーズー、柴犬、ビーグル、ゴールデンレトリバーなどです。
イボができる
老犬になると代謝が悪くなって抵抗力が低下することによりイボができやすくなるといわれています。
そして、犬にできるイボには老犬に多い「非ウイルス性」と、若い犬に多い「ウイルス性」の2種類に分けられます。ただし、個体差や環境によって異なるので老犬だからウイルス性のイボはできないというわけではありません。
イボにはさまざまな種類のものがあります。お腹から胸、脇の下、足の付け根などの部分に水や空気が入っているように膨らむ「脂肪腫」は、触ると柔らかく弾力があるのが特徴で丸や楕円形の形をしています。このイボは基本的に良性なものです。
また、乳頭に似ている「乳頭腫」や、5歳以上が発症しやすく背中にできやすく1~20cmの大きさになる「毛包腫瘍」も基本的に良性なイボとされています。
「黒色腫」は黒色のイボで良性と悪性のものが存在します。黒色腫は頭や胸、お腹、足にできるものは良性の物が多く、口腔内や指にできたものは悪性の可能性があると言われています。黒色腫は比較的9~11歳の老犬にできやすいイボです。
イボには良性のものと悪性のものが存在しますが、この2つの見極めは難しいものです。一般的にウイルス性ものは皮膚病の一種でガンとは関係ないものなので、時間が経てば自然になくなっていきます。しかし、先述したように素人には見極めが難しいので、まずは動物病院で診察を受けることをおすすめします。
睡眠時間が延びる
犬は歳を重ねるにつれて睡眠時間が延びる傾向があります。
夜だけではなく昼も寝るようになったり、好奇心よりも睡眠を優先するようになったら、それは老化を示す症状です。睡眠中は周りへの関心が薄れるので、何かの動きや音で起きることもなくなります。
後ろ足が震える
気づいたら後ろ足がプルプルと震えていたなんてことがあるかもしれません。それは老化の現象のひとつです。
後ろ足の震えの原因として考えられるのは、筋力の低下により、十分に体を支えることができなくなったことが挙げられます。
歩いているときはさほど気になりませんが、立ち止まると震えているのがわかります。
運動に関しては足が震えだしたからといって全く運動しないと、筋力の低下を促進してしまうので、無理のない範囲で運動させましょう。
いつものお散歩コースを歩いていても帰りたい素振りをみせるなら、途中で休憩を挟んであげたり、お散歩コースを坂道や段差が少ない道に変えてあげるなどの工夫をしましょう。そしてお散歩が終わったらマッサージをしてあげましょう。
老犬のかかりやすい病気とは?
糖がそのまま尿として排出される糖尿病
犬も人間と同じように糖尿病にかかることがあります。糖尿病は体内のインスリンというホルモンの働きが悪くなったり不足することで、血液中の糖分が増加してしまう病気です。
犬の場合は7歳頃から糖尿病になりやすいと言われていますが、それは加齢による代謝の低下が原因であることが多いです。糖尿病の原因は先天性のほか、運動不足や肥満があります。愛犬が糖尿病にならないために、若いうちから適度な運動をさせて、食べ過ぎに注意する必要があります。
ろ過システムの低下の腎不全
腎臓は体内の余分な老廃物や水分を体外へ排出する重要な働きをする臓器です。この腎臓の機能が悪くなる病気を腎不全といい、ひどくなると命を落とすこともある怖い病気です。人間と同じように犬も腎不全になることがあり、一般的に老犬に多いと言われています。
心機能低下による心臓病
犬も歳をとると身体の機能が落ちてくるので病気にかかりやすくなります。そのひとつが心臓病です。心臓病は高齢の犬ほどかかりやすいと言われていて、主な心臓病には血液が逆流してしまう僧帽弁閉鎖不全症やフィラリアが心臓に寄生して起こるフィラリア症、心臓の筋肉が正常に機能しなくなる拡張型心筋症があります。
心臓病の多くは、老犬であっても早めに発見して治療を始めれば進行を遅らせることができます。しかし、心臓病は初期の段階だと飼い主さんが気づくのは難しい病気なので、日頃から健康診断を欠かさないようにしましょう。
また、心臓病は加齢だけでなく激しい運動や感染症などが原因で発症することがあるので、愛犬の健康管理を怠らないように心がけましょう。
ガンという名で名高い悪性腫瘍
悪性腫瘍と呼ばれるガンは、老化によって免疫力が落ちた老犬がかかりやすい病気のひとつです。若い頃は免疫の力で抑えていたガン細胞が加齢によって免疫力を上回ってしまうためです。近年、犬の平均寿命が延びたことでガンの発生率が高くなってきています。
老犬との生活で気をつける5つのこと
介護をしっかりする
愛犬の介護が必要になったら、さまざまな工夫が必要になってきます。トイレの失敗が多くなった場合はトイレの場所を変えたり数を増やすなどしてみてはいかがでしょうか。
また、フードを食べやすくするなどの工夫や、視力や聴覚が衰えてきた子のために障害物をなくすなど、対策も必要になってきます。犬の介護について正しい知識を得ることが重要となってきますので、獣医師やペットシッターさんに相談しながら適切な介護をしてあげましょう。
コミュニケーションの取り方
犬も歳をとるとだんだん足腰が弱くなってくるので、できる限り外へ連れ出して散歩を続けましょう。外へ出ることは犬にとって脚力の維持に繋がるほか、飼い主さんや他の犬とのコミュニケーションにもなります。ただ、老犬を散歩させるときは、なるべく段差がない道を選ぶことや若い頃より短い距離にするなどの配慮が必要です。
また、ブラッシングは皮膚に刺激を与えて血行促進になるのでおすすめです。優しく話しかけながらブラッシングすることで、愛犬とコミュニケーションが取れます。
犬は歳を重ねるにつれて不安な気持ちが強くなる傾向にあります。飼い主さんと愛犬が触れ合えるマッサージを行うことで愛情を感じることができますし、目や耳が衰えた老犬の不安を取り除いてあげる効果も期待できます。
生活環境で気をつけること
トイレの見直し
老犬になると足腰が弱くなってトイレに行くのに間に合わず粗相してしまうことがあります。その対策として、歩きやすいように床に滑りにくいカーペットやマットを敷くといいでしょう。また、トイレの台数を増やすのもひとつの方法です。犬がいつも歩く動線沿いにトイレを置いてあげることで粗相が減るでしょう。
トイレまで飼い主さんがサポートしてあげるのもひとつの方法です。愛犬がトイレに行くタイミングは普段観察していると分かってくるでしょう。食事をした後や昼寝から起きたときなどに、ハーネスを使って歩きやすいように助けてあげましょう。
家具の角にガードをつける
老犬になると視力の低下や脚力や聴力、嗅覚の低下によって障害物を避けられなくなったり高い場所に飛び乗れなくなります。犬が家具にぶつからないように家具を移動して模様替えしてあげようと考える人がいると思いますが、部屋の中の様子が変わると犬は戸惑います。そのため、模様替えはせずに家具の角にガードをつけて怪我をしないような対策をとってあげましょう。
また、高い場所に飛び乗るのは足腰に負担をかけますので台を置いて階段のようにしてあげるなどの工夫が必要です。そして、床には段差を作らないようにすることで愛犬の怪我を防ぎます。
動きのサポート
老犬になると座った状態から立ち上がるなどの動作が大変になってきます。愛犬の様子を見て、立ち上がりたいようでしたら手を貸してあげるなどのサポートが必要です。愛犬が立ち上がるときにふらつくようでしたら、老化が始まっている証拠です。脚力の低下を防ぐように歩けるうちはなるべく散歩に連れ出しましょう。
食事はどうしたらいい?
老犬になると若い頃よりも運動量が落ちて寝ている時間が長くなります。そのため、成犬のときと同じドッグフードの量を与えていたら肥満になる恐れがあります。そのため老犬には低脂肪・低炭水化物、低カロリーのドッグフードを選ぶようにするといいかもしれません。そして、だんだんと筋肉が落ちてくる年齢なので、タンパク質をしっかり摂らせることも大切になってきます。
元々肉食だった犬は食物繊維の消化吸収が得意ではありません。加えて加齢により胃腸も弱ってきているので、犬の胃腸に負担をかけないように穀物不使用のドッグフードを選んであげるといいでしょう。
フード選びは疾患を持っている犬用のものなど、身体に合わせて選ばなければならないので獣医師に相談して愛犬にぴったりなものを選んであげるようにしましょう。
そして老犬になると歯が弱ったり咀嚼の力が低下するため、今までと比べるとフードへの食いつきが悪くなることがあります。その場合、愛犬がフードを食べやすいように工夫する必要があります。
ドッグフードを選ぶときは小粒のものを選ぶのもひとつの方法です。また、ドライフードにぬるま湯をかけて柔らかくしてあげることで、食べやすくなるとともにお湯をかけたことで香りが立つので犬の食欲が増します。
老犬のために必要な栄養素を知り、ドッグフードを食べやすくする工夫を知ることは愛犬の健康維持に役立ちます。また、普段から愛犬の食事量を知っておくことで食べる量が極端に減っていないかを常にチェックしておくことも、飼い主として大切なことです。
お散歩コースはどうしたらいい?
今までのお散歩コースに階段や坂道などが含まれている場合は、それが無い新しいお散歩コースを用意してあげましょう。
新しいお散歩コースは、ゆっくりと歩く老犬が1時間程度で回れるコースで、今まで公園やお友達の家に寄っていたのであればそこに寄れるようなお散歩コースを考えてあげましょう。
また、どうしても今までのお散歩コースでなければ厳しい場合は、途中で抱っこをして愛犬が歩く時間を短縮してあげたり、公園などで休憩を入れてあげるなどしましょう。
老化の始まった愛犬と一緒に暮らしていくために
今回は老化したらどういった症状が現れるのか、またどのように対処したらいいのかをまとめました。
老化のサインは日々少しずつ現れていくものです。毎日一緒にいる飼い主さんがそのサインを見逃さずにしっかりと対処してあげましょう。愛犬に寄り添いながら豊かなシニアライフを送ってくださいね。
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