ケガなどをして手当てをしたときに装着するエリザベスカラーを嫌がる子は多いようです。
しかし傷口を保護するためにエリザベスカラーは大切な保護具です。
飼い主であるあなたがエリザベスカラーの必要性・重要性を正しく理解することにより、犬のストレスを少しでも取り除いてあげることができます。
犬にエリザベスカラーが必要なのはどうして?
傷口の悪化を防ぐことができる
愛犬が外傷などで動物病院で治療を受けた際に、傷口をなめたりあるいはこすったりしないようにするために、首の周りに取り付ける円錐台形状の保護具をエリザベスカラーと言います。チョット長いのでエリカラとも呼ばれています。
このエリザベスカラーは、16世紀イギリスのエリザベス王朝時代に使われていた襞襟(ひだえり)と形が似ていることから、この名前が付けられました。
エリザベスカラーはプラスチック製が主流です。犬の首に直接触れる箇所は、負担がかからないように樹脂製のカバーが取り付けられています。
ところで、犬に限らず動物は、なぜ傷口をなめるのでしょうか。
唾液には傷口を消毒するリゾチームが含まれており、本能的に傷口を舐めることで傷を治しています。
ところが動物病院で手当てを受けた犬は、患部がガーゼや包帯などで覆われており、傷口を舐めることができないために剥がしてしまおうとします。
傷口を保護するガーゼや包帯は、犬にとっては邪魔なのです。
また、傷が治り始めると痒くなってくることはあなたも経験ありますよね。犬も人と同様に痒くなるため傷口を舐めてしまうのです。
このような時に犬が患部を舐めないように保護するのがエリザベスカラーです。
一般的なエリザベスカラーはメガホンのような形をしています。顔よりも長く、顔幅よりも広くなっていて、顔を覆うようになっています。
この形状であれば、患部を舐めることはできません。最初のうちは煩わしいと感じていますが2日もすると慣れます。
もし、エリザベスカラーを付けなかった場合、犬はいつまでも患部を舐めてしまいます。
このことにより、傷口が炎症を起こしたり、悪化する場合もあります。また、手術等で患部を縫った時にも犬は舐め続けて、最悪手術用の糸が取れてしまい、傷口が開いてしまう場合があります。
傷口は清潔に保つ必要があります。さらに動物病院では傷口に化膿止めの薬などを塗布してありますが、エリザベスカラーを付けなかった場合には、犬が患部を舐めてしまうため、薬が効かなくなり、完治までに時間がかかってしまいます。
このようなことを防ぐために、エリザベスカラーはとても大切なものです。
一方で違和感で動かなくなるなどストレスがかかってしまうことも
傷口の保護や病気療養のため、エリザベスカラーはとても大切なものですが、犬の立場で考えれば、顔の周囲に生活するうえで邪魔なエリザベスカラーが付けられていることはストレスになります。
また、犬に限らず動物は、人と比べて何倍もの感度で五感を使って生活しています。
エリザベスカラーを付ければ、視界は妨げられ、音は反響し、においを嗅ぐことも不便です。
さらに、エリザベスカラーは顔よりも大きいので、歩いているときも障害物にぶつかります。
神経質な犬はストレスにかかってしまうこともあります。それぞれ犬の性格にもよりますが、ひどい場合には、エリザベスカラーに慣れることができず、ストレスを抱えたまま、動かなくなってしまうこともあります。
体調不良が長引いているため、事前に手術を行うことが分かっていれば、獣医師さんと相談して手術前にエリザベスカラーを装着して慣れさせておくこともできます。
しかし、ケガなどの場合には、急にエリザベスカラーを装着するわけですから、犬も慣れない環境に戸惑い、ストレスにかかることもあるのです。
ソフトなエリザベスカラーでストレスを軽減させてあげる
エリザベスカラーの目的は患部の治療と保護です。
犬がかわいそうだと思っても外してはいけません。
一般的に動物病院ではプラスチック製の硬めのエリザベスカラーを装着することがほとんどです。
しかし、かわいいあなたの愛犬が硬いエリザベスカラーをいやがったり、あるいはストレスにかかったりする姿を見るのは辛いものですね。
最近では愛犬に負担がかからないように、ソフトなエリザベスカラーが市販されています。
首の周りが布でできたもの、ドーナツのような輪をつけた中綿入りの柔らかくて軽いドーナツエリザベスカラーや、プラスチック製ではなく布製で軽いエリザベスカラーなどがあります。
このように軽く、愛犬にストレスのかからないエリザベスカラーを選んであげるのもよろしいのではないでしょうか。
できれば、獣医師さんと相談の上でお買い求めになった方がいいでしょう。
我が家では、エリザベスカラーは透明のプラスチック製のものを使用しています。
少しでも犬の視界を確保したいということと、多頭飼いしているため、丈夫なプラスチック製のものの方が長持ちし、お手入れも簡単だからです。
愛犬がエリザベスカラーを付けての生活に。こんな時どうする?
エリザベスカラーを付けた犬がご飯を食べる時はどうする?
多くの飼い主さんは、通常はドッグフードを犬用の食器に入れて床において食べさせていると思います。
しかし、エリザベスカラーは犬の顔よりも長いため、非常に食べづらいです。
そこで、食事の際にはエリザベスカラーが邪魔にならないように、高い位置においてあげると食べやすくなります。
あるいは、食事の際にはエリザベスカラーを外してあげても良いでしょう。
外してしまえば、普段と同じようにドッグフードを食べることができます。ただし、犬が傷口を舐めたりしないよう十分に注意してあげてください。
なお、我が家でもケガや目の治療、帝王切開をしたときなどに、何度もエリザベスカラーを使っておりますが、食事の際にはエリザベスカラーを外しています。
そして、犬がドッグフードを食べている間に、ウエットティッシュでエリザベスカラーを拭いてきれいにします。
飼い主としては、不自由なときもなるべく快適に暮らしてほしいと思っているからです。
犬が寝る時エリザベスカラーはどうするの?
では、犬が寝るときにエリザベスカラーはどうしたらいいでしょうか。
飼い主さんにとって一番楽なのは付けたまま寝かしてしまうことです。
犬は昼間でもよく眠っています。成犬の平均睡眠時間は12時間と言われています。
一方でパピーや老犬は成犬よりも睡眠時間は長くなります。一日の半分以上を睡眠で使っているのですから、睡眠時間は快適に過ごしてあげたいです。
エリザベスカラーに慣れてストレスを感じない犬は問題ないのですが、慣れない犬は睡眠不足になる恐れもあります。
布でできた柔らかいエリザベスカラーがおすすめ
硬いエリザベスカラーに慣れない犬には、布製の柔らかいエリザベスカラーがおすすめです。
素材が柔らかく軽いため、横になったときに首などへの負担が軽減されます。また硬いエリザベスカラーは音が響くため犬にとってストレスの原因にもなります。
最近では可愛らしいエリザベスカラーがたくさん市販されていますので、お気に入りのエリザベスカラーを選んであげましょう。
なお、エリザベスカラーは顔を覆っているため、よだれなどで汚れます。2〜3日おきにお洗濯できるように3つくらい用意してあげましょう。
エリザベスカラーは意外と簡単に作れる!作り方をご紹介
エリザベスカラーは動物病院で治療の際につけることが多いため、傷が治るまでそのまま使い続けることが多いと思います。
実はご家庭あるもので簡単に作ることができます。あなたの愛犬の大きさに合わせて作ってあげれば、ストレスの軽減にも繋がります。
家にあるもので代用できる!クリアファイルを使った簡単エリザベスカラー
100均でも売っているクリアファイルで簡単に作ることができます。
用意するのはクリアファイル、マジックテープ、あて布です。
クリアファイルの閉じてある角の方を犬の首の大きさに合わせてカットし、さらに短く閉じてあるところもカットします。
首にあたる部分にあて布をつけます。犬の首に合わせて円錐台形状にして、大きさを合わせて、張り合わせる部分にマジックテープを取り付ければ完成です。
これでしたら簡単に何種類も用意できます。
布を使って寝る時も邪魔にならないエリザベスカラーを作ろう!
手芸などがお得意な方は布製のエリザべスカラーに挑戦してみましょう。
犬の首回りを測り、新聞紙にコンパスを使って型紙を取ります。
型紙にあわせて布を切りとり、布の端にバイアステープを縫い付けます。
布を張り合わせる部分に、マジックテープを縫い付けます。犬の首回りに取り付けてマジックテープでとめます。
布はなるべく厚めのものをご用意ください。
プチプチを使ってエリザベスカラーができちゃう!
犬の首の幅に合わせて梱包用のプチプチをカットして首にぐるぐると巻き付けてガムテープで止めます。
簡単にエリザベスカラーができちゃいます。円錐台形状のエリザベスカラーよりも楽そうな感じがします。
ただし、プチプチを使った場合、簡単に外れてしまうことがあります。あくまでもストレス軽減用に、睡眠時などに使ってみてはいかがでしょうか。
その他にもシャンプーハットを使ってエリザベスカラーを作ることもできます。
ネットで検索すると、色々な作り方がアップしてありますので、お試しください。
まとめ
エリザベスカラーは、ケガなどで治療した患部を守るための治療用の保護具です。
犬が嫌がるからと言って外さないようにしましょう。
しかし、犬にとっては突然装着されたエリザベスカラーの意味はわかりません。
犬の様子を見ながら、ストレスを感じているようであれば、獣医師さんに相談してください。
大切なことは、エリザベスカラーは愛犬の傷口を守るということです。愛情を持って術後の経過を見守ってあげてください。
記事ランキング
まだデータがありません。