ドライフルーツやジャムでおなじみのイチジクは夏から秋が旬の果物で、栄養も豊富に含まれている食品です。しかし、イチジクは愛犬に食べさせてはいけない果物のひとつです。なぜ犬に与えないほうがいいのか、その理由について解説していきます。
イチジクの実とはどんなもの?
イチジクの実とは
イチジクには古い歴史があり、紀元前から栽培されているのではないか、と言われています。『旧約聖書』でアダムとイヴの話に出てくるリンゴは、実はイチジクだったのではないかという説があります。
そして、イチジクは古代ローマでは「不老不死の果物」、トルコでは「聖なる果実」と呼ばれていました。
旬は夏から秋で、そのまま食べたりジャムやドライフルーツにする食べ方があります。
イチジクに含まれている成分
イチジクにはさまざまな成分が含まれているので、ご紹介します。
■カリウム
ミネラルのひとつであるカリウムは、体内で不要になったナトリウムを排出する働きを持っています。また、疲労回復にもおおいに関わる成分としても知られています。
人間にも犬にも必要で大切な成分なのですが、多く摂りすぎると「高カリウム血症」の原因になることがあるので注意しましょう。
■カルシウム
イチジクは果物の中ではカルシウムの含有量が豊富な方ですが、イチジクは犬に食べさせてはいけない果物です。そのため、犬にカルシウムを摂取させたい場合はほかの食べ物から摂取させましょう。イチジクを犬に食べさせてはいけない理由は改めて解説いたします。
■マグネシウム
マグネシウムには体内の酵素の働きをサポートする働きがあります。犬にもマグネシウムは必要な成分ですが、摂りすぎると尿の中へのマグネシウムの排出量が増えてストラバイト結石ができるリスクが高くなってしまいます。
一方、摂取を制限しすぎるとカルシウム濃度が高くなってしまうので、シュウ酸カルシウム結石のリスクが高くなります。
■食物繊維
イチジクには食物繊維の中でも不溶性食物繊維が多く含まれています。不溶性食物繊維は果物や野菜などに含まれていて、胃や腸で水分を吸収して腸を刺激して便通を促進させる働きを持っています。
犬にイチジクを食べさせてはダメな理由は?
ソラレンという中毒成分が含まれている
イチジクには前述したような豊富な栄養素が含まれているので、犬の健康に良いように思いますよね。
しかし、イチジクには犬が中毒症状を起こすソラレンという成分が含まれているので、食べさせてはいけない果物です。
この中毒成分であるソラレンとは、グレープフルーツやオレンジの皮にも含まれている成分のことです。この成分は人間にとっては日焼けやそばかすの原因となるものですが、犬が摂取すると中毒を引き起こす恐れが考えられています。
中毒症状が出るかどうかは個体差により異なりますが、少し食べただけでも重篤な症状が出る子犬もいるので十分に充分に注意しなければなりません。
また、子犬や老犬、体調を崩しているときなどは特に気を付けたい食材です。
イチジクに含まれるフィシンが犬にはよくない
イチジクに含まれるフィシンという成分は、たんぱく質の分解酵素のことで、イチジクの茎や実、葉に含まれています。イチジクの茎を切ると乳白色の液体が出てきますが、これにフィシンが含まれていて、口にするとかぶれや皮膚の痒みを引き起こします。
この成分は人間にとっては消化不良の予防や消化を促すほか、二日酔いにも効果が期待できるものです。しかし、犬にとってはその働きが強すぎ、粘膜を破壊してしまう恐れがあるのです。
ラテックスアレルギーに注意が必要
ラテックスのアレルギーとは、天然ゴムに含まれるラテックスたんぱく質が原因で起こるアレルギーのことです。犬がイチジクを食べると、ラテックスフルーツ症候群という特殊なアレルギー反応を引き起こす恐れがあります。
イチジクをはじめ、キウイやバナナなどに含まれるたんぱく質がラテックスに似ているので、ラテックスアレルギーがあると抗体がイチジクのたんぱく質をラテックスだと勘違いしてしまうことがあるのです。
アレルギー症状は嘔吐や下痢、皮膚の痒みや目が充血するなどです。ひどくなるとアナフィラキシーショックを起こして命に関わる場合があります。
イチジクのドライフルーツも食べさせないで!
犬に食べさせないようにするのは生のイチジクだけでなく、ジュースやジャム、ドライフルーツに加工されたものもです。イチジクは加工しても犬にとって中毒となる成分が含まれています。
犬がイチジクを食べてしまったらどうなるの?
犬がイチジクを食べたときの中毒症状
- ソラレンによる下痢や嘔吐
- フィシンによる皮膚トラブル
犬がソラレンを摂取すると下痢や嘔吐などの症状が引き起こすことがあります。個体差によりますが、イチジクを少量口にしただけでも下痢をすることがあるので注意が必要です。
イチジクに含まれるフィシンという成分は、犬の皮膚トラブルを引き起こす原因になることがあります。
犬がイチジクを食べると、口の中の粘膜が刺激されて口内炎を引き起こしたりよだれが大量に出ることがあります。ひどくなると口の中の痛みから食欲が落ちたり水を飲まなくなってしまう場合があり、この状態が続くと脱水症状を引き起こしてしまいます。
犬がイチジクを食べてしまったらどうしたらいいの?
すぐに動物病院へ連れて行く
もしも犬がイチジクを口にしてしまったら、自宅で無理に吐かせようとせず動物病院へ連れて行きましょう。愛犬の口の中を確認して、イチジクが残っていたらすぐに取り出して食べ残しを病院に持っていくといいでしょう。
いつどのくらい食べたかを伝える
動物病院へ行ったら愛犬がイチジクを食べた時間や量を獣医師に伝えます。それを伝えることで獣医師は愛犬への対処がしやすくなり、すぐに治療にとりかかれます。
犬がイチジクを食べてからすぐに中毒症状が出ることもありますが、数日ほど経ってから症状が出ることもあります。そのため、愛犬がイチジクを食べた直後に何の変化もないからといって、そのままにしておかず数日は愛犬の様子を注意深く観察するようにしましょう。
愛犬の健康を守るためにできること
犬の手の届く場所にイチジクを置かない
犬は飼い主さんが食べているものに興味津々で、いい匂いがするものは欲しがります。しかし、食べ物の中には犬が食べるといけないものがあり、もちろん犬にはそれを判断することができないので、飼い主さんがしっかり管理する必要があります。
イチジクは犬が触れない場所にしまっておき、皮や葉を捨てる時は犬がいたずらしないようにしましょう。そして、飼い主さんがイチジクを食べた時はしっかり手を洗ってから犬を触るようにすることも大切です。
犬に食べさせてはいけないものを知る
飼い主さんが犬に食べさせてはいけない食べ物はどんなものか、把握することは大変重要なことです。愛犬の命に危険を及ぼす食べ物を知らずに食べさせてしまい、愛犬の命を危険にさらしてしまうことがないようにしなければなりません。
そして、人間と犬は身体のつくりや消化吸収に違いがあることを意識しておきましょう。愛犬の健康と命を守ることができるのは飼い主さんだけなのです。
犬にイチジクを食べさせないで
なぜ犬にイチジクを食べさせてはいけないのか、お分かりいただいたと思います。栄養がある食べ物であっても犬にとって中毒性があるものがあることを学ぶことが犬の命を守ることに繋がるのです。
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