キシリトールと聞いてガムを思い浮かべる方が多いと思います。人間にとってキシリトールは歯の健康を維持するために有効な成分ですが、犬にとってはどうなのでしょうか?今回は犬にキシリトールを与える危険性についてまとめました。
よく聞く「キシリトール」はそもそもどういうもの?
キシリトールって?
キシリトールとは、糖アルコールの一種でキシロースという成分から合成されたものです。糖アルコールは5種類ありますが、その中では最も甘く砂糖と同じ甘味度を持っています。
みなさんが知っている商品の中では、ガムやタブレット、歯磨き粉に使用されています。
犬の歯にキシリトールはいいの?
キシリトールは犬が口にすると、最悪の場合死に至る恐れがあるので与えてはいけません。
また、犬の唾液は人間と成分が異なるため、砂糖を食べても口の中で消化せず、酸を生みだすことはありません。つまり、砂糖によって虫歯になることがないため、元々虫歯になりにくいのです。
そのため、キシリトールを犬に与える必要はありません。思わぬ事故を防ぐためにもキシリトールが含まれている食べ物の保管には十分気を付けましょう。
犬がキシリトールを摂取した場合の中毒症状
キシリトールの中毒症状は30分程度で発症する確率が高く、1時間以上経つと死に至る場合もあるので、愛犬が口にしてしまった場合は早急な対処が必要となってきます。主なキシリトールの中毒症状には以下のものがあります。
深刻な低血糖
犬の場合、摂取されたキシリトールは体内でインシュリンという物質の分泌を強力に促す働きがあります。
インシュリンには血糖値を下げる効果がありますが、犬がキシリトールを摂取した場合、必要以上に血糖値が下がってしまい、低血糖値状態になってしまいます。
人間の場合は低血糖値状態に陥ったら砂糖を食べて口の中で消化させることにより回復をはかれますが、犬の場合は砂糖を食べても口の中で消化できないため、ブドウ糖の点滴が必要となってきます。
昏睡
キシリトールを摂取してから1時間以上経つと、昏睡状態に陥る場合があります。
具体的には、声をかけても叩いても反応せず、ぐったりと眠ったようになる状態のことです。意識障害の最高度のもので、そのまま死に至る場合も少なくありません。
発作
突然ガクガクと痙攣をし始める場合があります。揺さぶっても反応を示さず、ずっとガクガクとしているのが特徴です。
ふらつき
キシリトールを摂取したことにより意識がもうろうとしてふらつく場合があります。物や壁にぶつかりながら歩いたり、壁を支えにして歩くような素振りを見せます。
>下痢・嘔吐
とにかくキシリトールを外に出そうと、口やお尻から排出しようとします。
ある程度、下痢や嘔吐をしてキシリトールが外に出たからもう大丈夫だろうと判断するのは間違いで、インシュリンによって低血糖が起きている場合が高いので、すぐに獣医さんに相談しに行きましょう。
肝不全
肝臓は生命を維持するための重要な役割を担っている臓器です。腸から送られてきた栄養を代謝して老廃物を取り除く役割や、毒素物質などを血液からろ過します。また、病気から身体を守る免疫反応にも関わっている臓器です。
肝臓の機能が停止してしまうことを肝不全といい、肝臓が働かなくなってしまうと多臓器不全になっていきます。肝不全は生命の維持に必要な働きが停止してしまう重篤な病気で命を落とすこともあります。
犬のキシリトール致死量はどれくらい?
10kgの犬に対してキシリトール1gでも危険
アメリカで実際に起きた事故から、体重10kgの犬に対してキシリトール1gでも重篤な症状が出ると言われています。
特にキシリトールガムなどを誤食してしまった場合は早急に動物病院へ行く必要があります。日本で販売されているキシリトール入りガムは、一粒に約0.5gのキシリトールが入っているので、5kg程度の小型犬の場合、たった1粒ガムを食べただけでも危険ということになります。
まだキシリトールの中毒量ははっきりと分かっていませんが、少量でも危険なので誤食を含め十分に気を付けなければなりません。
愛犬がキシリトールを食べてしまった時の対処法
愛犬がキシリトールを誤食したら獣医さんにすぐ連絡をしよう
キシリトールの中毒症状は30分前後で出ることが多く、1時間で重篤化してしまう恐れがあるほどです。
まずは動物病院に連れて行く前に、キシリトール入りの物をどれくらい食べたのか、今どんな症状が出ているのか、まずは動物病院に電話して伝えましょう。
場合によってはその場で嘔吐をさせるように指示される場合があります。冷静でいるのは難しいかもしれませんが、飼い主さんがしっかりと獣医さんの指示に従って動くようにしましょう。
意外!?キシリトールを含む食べ物
キシリトールを多く含む食べ物は基本的に人工的に作られたもので、人間が嗜好品として楽しむために作られたものです。例えば、ガムやタブレット、飴、グミなどです。最近ではキシリトールを使ったケーキもあるそうですが、これらは絶対に愛犬に与えないようにしましょう。
この他にも実はいちごやレタスにもキシリトールが少量含まれています。これらは1日の総摂取カロリーの10%以下であれば与えても問題ない場合が多いですが、過度に与えるのは避けましょう。体調不良につながる恐れもあるので、適量を守ってください。また、飼い主さんの見てないうちに大量に口にしてしまった場合は、獣医さんに診てもらいましょう。
犬にキシリトールは危険!誤食にも注意しよう
愛犬の歯の健康を守ってあげたいという思いを持つ飼い主さんは多いと思います。そして、歯の健康といえばキシリトールだと思い浮かべる飼い主さんもいるかもしれませんが、キシリトールは犬にとって危険なものであり、最悪死に至ってしまう可能性がある食べ物です。
飼い主さんがあげなくても、愛犬が興味を持って誤食してしまう可能性も十分に考えられます。キシリトールに限らず、悲しい事故が起こらないためにもまずは犬が口にしてはいけない食べ物の管理を徹底することが飼い主さんのひとつの役目です。
記事ランキング
まだデータがありません。