秋の食べ物と言ったらみなさん何を思い浮かべるでしょうか?さつまいもや松茸、お米、栗などさまざまな物が思い浮かぶと思います。そんな食欲の秋ですが、今回はその中でも栗に注目してみました。栗は犬に与えても大丈夫なのでしょうか?
犬は栗を食べられる?
犬に栗をあげても大丈夫
犬に与えてはいけない食べ物といえば何を思い浮かべますか?
玉ねぎなどのネギ類やチョコレート、ぶどうだと思います。これらは犬が食べてはいけない、最悪死に至ってしまうような強い中毒成分が入った食べ物です。
しかし、栗にはそのような中毒成分は入っていません。正しく与えれば、栄養満点で犬の健康をサポートしてくれるいい食材なのです。
栗をあげる場合は生ではなく加熱処理を
栗を犬に与えるときは、鬼皮と渋皮を剥いて加熱処理してから与えましょう。栗は消化しにくい食材なので、生で与えると消化不良の原因につながります。
また、栗の皮は食道や胃、腸を傷つけてしまう恐れが非常に高いです。渋皮に関しても繊維が多く消化に良くないと言われています。そのため、栗を犬に与える際は鬼皮と渋皮を剥いてあげて、加熱処理してから与えるようにしましょう。
一度にたくさんの栗を与えないように注意!
前述した通り、栗は消化しにくい食べ物です。そのため、犬にあげすぎてしまうと消化不良で便が緩くなり、下痢や嘔吐などの症状が現れます。
また、栗は炭水化物が豊富に含まれている食べ物なので、カロリーオーバーになり、肥満の原因になります。そして、お腹がいっぱいになることにより、ドッグフードが食べられず、栄養が偏ってしまうという心配もあります。
その他にも、栗はカリウムを多く含むため、利尿作用によりおもらしをしてしまう場合があります。
与える目安としては栗15g程度、つまり中くらいの栗1個分です。これを細かく刻んだり、裏ごしして、犬が食べやすいようにしてから与えるようにしましょう。
栗には犬にとっていい栄養がたくさん!
栗の中に含まれている水分が水分補給に
栗の中には意外と水分が多く含まれています。日本の栗は約58%が水分のため、水分補給につながると言われています。あまり水分を取らなくなってしまった老犬や、元々あまりお水を飲まない犬におすすめです。
食物繊維が便秘解消に
犬の腸はタンパク質が豊富な食べ物の吸収を得意とするため、草食動物よりも腸が短いです。そのため、食物繊維を消化するのが難しい仕組みになっています。
しかし、少量の食物繊維は腸壁を刺激するため便秘の解消や予防、腸内細菌のバランスを整えるなど、腸の環境を整えるのに重要な働きをします。
炭水化物が疲労回復に
炭水化物にはブドウ糖が含まれています。このブドウ糖は即効性のエネルギー源で、摂ることにより疲労回復につながります。栗には多くの炭水化物が含まれているので、疲労回復に優れていると言われています。
運動をした後の犬は血糖値が急激に下がっているため、ブドウ糖を摂取させて疲労回復をはかりましょう。
老化を防止してくれるビタミンC
栗に一番多く含まれているビタミンはビタミンCです。ビタミンCは熱を加えると破壊されてしまいます。しかし、栗の場合でんぷんに守られているため、ビタミンCが熱によって壊される量は少ないとされています。
ビタミンCは犬にとって非常に大切なビタミンです。老化防止や免疫力の強化、コラーゲンの合成、腸内での鉄とカルシウムの吸収促進、外傷の治療促進、血管壁を正常に保つなど、さまざまな効果が期待できます。
老犬や病気を患っている犬、子犬や妊娠・授乳中の犬は通常より多くのビタミンCを必要とします。このような犬はストレスを感じやすいため、ビタミンCの消費が激しいとされています。
そのため、体内で生成されるビタミンCの他に、外部からビタミンCを摂取させてあげる必要があります。
元気の源であるビタミンB6
ビタミンB6は水溶性ビタミンのひとつで、ピリドキシンとも呼ばれることがあります。これは、タンパク質の分解や合成をする働きがあります。
最初にビタミンB6はタンパク質へ変換され、消化器官を通り抜けながらアミノ酸へと分解されます。その後、肝臓で身体に必要なタンパク質に作り替えられるのです。
ビタミンB6が不足すると、神経過敏や貧血、痙攣などの症状が現れます。
健康な犬にはビタミンB6が欠乏しているのは非常にまれと言われています。つまり、逆を言えば元気で健康的な犬はビタミンB6をしっかりと摂取しているということです。
皮膚や粘膜の健康を保つビタミンB1
ビタミンB1には皮膚や粘膜の健康を保つ働きをします。
また、ビタミンB1が不足すると食糞という、自分のした排泄物を食べるといった行為をしてしまいます。これは、自分の排泄した糞の中に入っているビタミンB1を欲してこのような行動をするのです。
このような行為をさせないためにも、ビタミンB1は摂取させたい成分のひとつです。
貧血予防に葉酸
葉酸はビタミンMやビタミンB9、プテロイルグルタミン酸とも呼ばれている成分です。最初にほうれん草の葉から発見されたため、その名が付けられました。
葉酸はDNAの合成に必要な成分です。これが不足すると大量のDNAを必要とする造血器官に悪影響を与え、血球合成に障害を起こし、赤血球障害や貧血といった症状を引き起こします。つまり、十分葉酸を摂取していれば貧血予防に効果が期待できるのです。
また、胎児の時期が一番葉酸を必要とするため、妊娠中の犬には葉酸をたくさん摂取してもらう必要があります。
葉酸は水溶性ビタミンなので、摂り過ぎても尿として排出されます。なので、十分な量の葉酸を与えてあげましょう。
関節や軟骨の形成をするマンガン
マンガンは多くの酵素を補助する働きのある栄養素です。
犬の体内には微量にしか存在していないと言われており、食事として摂取するべき栄養素です。マンガンの過剰摂取については問題ないとされており、逆に少ない方が問題視されています。
犬がマンガンを摂取すると、関節や軟骨の形成、神経機能にいい影響をもたらすと言われています。
利尿作用のあるカリウム
カリウムには体内で過多となったナトリウムによって血圧の上昇を防ぐべく、尿として排泄する利尿作用があります。また、タンパク質のカスや尿酸などの老廃物の排泄を促します。
細胞内のカリウム濃度を高く保ち、ナトリウムの濃度を低く保つことは、細胞が生き生きと機能し身体が生命を維持するために必要不可欠なのです。
犬に栗を与えるときに注意する6このこと
栗の皮をむいてから犬にあげる
犬は栗の皮を消化することができません。もし食べた場合はそのまま便として排出されてます。
しかし、口の中や食道、胃、腸を傷つけて、血を吐いてしまったり血便がでてしまう恐れがあるので、必ず取り除きましょう。
犬にあげるときは栗の渋皮もむいてあげる
渋皮はタンニンなどの栄養素が含まれており、脂肪の吸収を抑えたり、糖質を分解してくれる成分が含まれているというデータがあります。
しかし犬にとっては繊維が多く、消化によくありません。
また、膵リパーゼという、すい臓が分泌する消化酵素のひとつで脂肪を分解する働きのある酵素の効果を薄くしてしまうというデータがあるので、剥いてから与えてあげましょう。
犬の中には栗のアレルギーを持っている可能性があるので少量から
どの食材にも言えることですが、犬の中には栗のアレルギーを持っている犬もいます。この場合、少し食べただけでも症状が現れることが多いと言われています。
症状としては下痢や嘔吐、元気がなくなる、体中を痒がる、じんましん、湿疹、目の充血などです。このような症状が出た場合はすぐに獣医さんに見てもらいましょう。
また、食べさせ方としては最初は少量から与えてみて様子をみつつ、大丈夫そうなら栗1個を与えましょう。
加熱処理をしっかりしてあげる
加熱してない状態の栗は硬く、消化もしにくいです。そのため、加熱処理をしっかりとして柔らかくなった状態で与えてあげましょう。
スーパーやコンビニなどで売っている加熱済みの甘栗は、甘栗だけであれば与えても問題ありません。加熱が面倒な場合はこれらを利用するのもいいかもしれません。
栗きんとんなど調味料を使ったものは犬には与えない
栗きんとんやマロングラッセなどは甘くてつい愛犬にあげたくなってしまいます。
しかし、これらは犬にとってカロリーの摂り過ぎになり、肥満につながります。
また、犬は糖質が大好きで甘いものに目がありません。一度栗きんとんやマロングラッセなどの味を覚えてしまうと、ドッグフードを食べてくれなくなってしまったという犬もいるそうです。そのため調味料などは一切加えず、そのままの栗の味を楽しませてあげましょう。
栗は細かく刻むか裏ごしをしてあげる
栗は表面がつるっとしていて丸いので、犬が丸呑みをしてしまいがちです。丸呑みをしてしまうと、栗が消化できず腸に詰まってしまう場合があります。腸に詰まってしまうと、最悪の場合、死に至る恐れがあるので、必ず細かく刻むか裏ごしをしてあげてください。
栄養満点の栗!秋の味覚として愛犬のおやつに取り入れよう
犬が栗を食べることは水分補給や便秘解消、疲労回復、老化防止、エネルギー源、皮膚や粘膜の健康を保つ、貧血予防、関節や軟骨の形成、利尿作用が有るなど、さまざまな利点につながります。そのため、積極的に与えていきたい食材のひとつです。
皮や渋皮をむいてあげる、加熱処理をしてあげる、細かく刻むか裏ごししてあげる、アレルギーが起こらないか注意してあげるなど、注意しなければならない点は多いですが、愛犬と一緒に秋の味覚を楽しむために、一手間加えてあげましょう。
おやつとして刻んだ栗や裏ごしした栗を与えてもいいですが、ドッグフードにトッピングして取り入れてみるのもいいですね。
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