昭和30年代にブームとなった日本スピッツという犬種をご存知ですか?その当時、大ブームを巻き起こした日本スピッツですが、その後あまり見なくなりました。その理由はどのようなものだったのでしょうか。また、加えて日本スピッツの性格や飼育方法をご紹介します。この記事を通して日本スピッツのことを知っていきましょう。
日本スピッツとはどんな犬?
日本スピッツの歴史
日本スピッツの祖先は、1920年代にシベリア大陸を経由して日本へやってきた白いジャーマン・スピッツだといわれています。実はこの祖先犬は「ホワイトスピッツ」との認識で、詳しい犬種や情報が残っていません。
「スピッツ」の名前は、日本スピッツのとがった口から、ドイツ語の「シュピッツ(とがったもの)」が由来だとされています。
1930年頃になると繁殖が始まっていき、日本スピッツの交配にサモエドが導入されたともいわれています。
昭和になって戦争が始まると、日本スピッツの数は減少していきましたが洋犬をルーツとする日本産の犬として、愛好家が飼育・繁殖を続けていきました。
そして、昭和30年代になり日本が高度成長期を迎えると日本スピッツは人気が出てきて、日本スピッツを飼う家庭が増えていきました。お金持ちが飼う犬とのステイタスがブームになり、日本人が飼育する犬の半数近くを占めるほどにまでなりました。
しかし、その頃の日本は犬のしつけに関する知識がまだ浅く、日本スピッツの性格に合わせたしつけができないでいました。そのため、日本スピッツは「よく吠えてうるさい」とのレッテルが貼られてしまい、そのブームは去っていきます。
日本スピッツの飼育数が減少していった背景には、マンションなどの集合住宅の建設が増えていったことも影響しています。吠える犬は集合住宅には適さないということも飼育数が減少していった原因です。
しかし、このレッテルを払拭するため、日本スピッツの愛好家は無駄吠えがなくなるように選択繁殖を続け、無駄吠えが少なく穏やかな性格の日本スピッツを誕生させました。
一時期は人気が衰えた日本スピッツですが、このように愛好家の努力で飼いやすいようになっていきました。
日本スピッツの特徴!体重や寿命は?
日本スピッツは名前の由来のように、口がとがっていてすらっとした細い足でバランスの良い体型をしています。アーモンド形の目で耳は立っていて、全身は真っ白の毛で追われて、尻尾はクルンと丸まって豪華な飾り毛がついています。
体高はオスで30~38cmほどで、体重は5~10kg、メスはオスより少し小さい身体をしています。そして、「日本スピッツ」は毛色が白しか認められていません。
日本スピッツは中型犬で、その寿命は10~16年です。一般的な中型犬の寿命は11~13歳なので日本スピッツは長生きな犬種といっていいでしょう。
室内で飼育して、栄養管理をしっかり行い毎日の散歩を欠かさずすることで、健康維持に繋がります。そして、健康管理のため定期検診を受けることで、病気にかかっていたとしても早めに治療を始めることができるので、定期的な健康診断を受けるようにしましょう。
このように健康に気を配ることで、平均寿命以上に長生きすることも不可能ではありません。
日本スピッツの性格
日本スピッツは飼い主に従順
日本スピッツは警戒心が強いため、無駄吠えがひどい犬だといわれてきました。しかし、愛好家の努力で穏やかで飼い主さんに従順な性格の個体が多くなってきました。
飼い主さんの言うことをしっかり聞いて、物覚えがいいのでしつけがしやすい犬種です。
一方で、可愛いからといって甘やかしてしまうとわがままな性格になりやすいので、飼いやすい性格になるかどうかは飼い主さんの接し方で変わってきます。
そして、他の動物とも仲良くできるので相性さえ良ければ猫やうさぎなどとも一緒に暮らせます。
人懐こく遊び好きの日本スピッツは小さな子どもがいる家庭でも安心
飼い主さんが大好きで遊ぶのが好きな性格の子が多いので、小さな子どもがいる家庭にもおすすめです。子どもと一緒に遊んだりして共に暮らしていくことで、子どもの情操教育にもつながります。
好奇心旺盛な日本スピッツ
日本スピッツは遊ぶのが好きで好奇心旺盛ですが、元々持っている警戒心が強い部分も残っているので、番犬としての役割を果たしてくれる面もあります。
人懐こく従順で遊ぶのが大好きなスピッツはよい相棒になってくれることでしょう。
日本スピッツの性格に合わせた飼育方法
日本スピッツは寂しがり屋な面もあるので室内飼いがおすすめ
遊ぶのが大好きで活発な性格をしている日本スピッツですが、寂しがり屋な面もあるので飼育方法は室内飼いがいいでしょう。1匹だけにしておくと寂しさからストレスを感じて、精神不安定になってしまうことがあります。
そして被毛が厚く暑さに弱いので、室内で飼うことがおすすめです。
無駄吠えをなくすようにしつける
日本スピッツは愛好家の努力で無駄吠えが減りましたが、警戒心が強い性格なので恐怖心を感じると無駄吠えする可能性があります。もし何かに怯えて吠えだしたら、叱りつけることをせず、無駄吠えしないように根気よくしつけましょう。
日本スピッツは賢く飼い主さんに従順なので、しつけの方法さえ間違っていなければ無駄吠えしないようにしつけることが可能です。
もし、しつけの仕方に自信がない場合は、ペットショップ主催のしつけ教室やしつけのプロに学ぶといいでしょう。
飼い主さんが正しい知識をつけることは犬を飼育する上では大変重要なことです。そして、無駄吠えをしなくなったらしっかり褒めてあげ、普段からスキンシップをとって愛情を注いであげましょう。
日本スピッツは遊ぶ好きなので散歩をこまめにする
スピッツは活発で遊び好きな性格です。元気で散歩が大好きな犬種なので、毎日1日2回、30分の散歩をするようにしましょう。外に出た際は、広い公園でボール遊びをしたりドッグランで走らせてあげましょう。
また、散歩で外へ出るといろいろな人や他の犬に出会って触れ合うなかで、社会性が養われるとともに、ストレスも発散されます。
おやつは脂肪分が少ないものを与える
日本スピッツは皮脂腺が少ない犬種です。そのため、与えるおやつやフードは脂肪分が少ないものを選ぶようにする必要があります。
脂肪分が多いものを摂りすぎると耳垢や涙やけの原因になることがあるので注意しましょう。
日本スピッツは抜け毛の季節以外もブラッシングを欠かさず行う
日本スピッツの特徴のひとつに、真っ白でふわふわな長い毛があります。毛が長いとお手入れが大変そうに感じますが、日本スピッツの毛は絡まりにくいので手入れはそれほど難しくありません。
カットが必要なほど長いわけではありませんが、ダブルコートで換毛期には抜け毛が多いのでブラッシングをこまめに行うようにしましょう。
換毛期は毎日ブラッシングが必要ですが、それ以外の時期は週に3~4回ほど、シャンプーは月に1回程度してあげると白くきれいな毛が保てます。
日本スピッツに起きやすい病気
膝蓋骨脱臼
日本スピッツは細い脚をしているので、激しい運動をしたときに骨や関節に負担がかかってしまい、脱臼しやすい犬種です。
そのため、身体にしっかり筋肉がつくまでは高い場所から飛び降りるなど、骨や関節に負担をかけるような動きをしないようにしましょう。特に子犬や老犬は過剰な運動を避けましょう。
また、身体に筋肉がつくように散歩や適度な運動をさせるように心がけましょう。そして、普段から愛犬の歩く様子を観察して気になることがあったら、獣医師に相談するようにしましょう。
皮膚疾患
日本スピッツを皮膚疾患が起こりやすいので、日頃からブラッシングをしながら身体の様子をチェックしましょう。ブラッシングを行うことで皮膚に良い刺激を与えて健康になるとともに、皮膚に異常がないか早期発見することができます。
流涙症
流涙症は目から涙が流れる病気です。この病気になると目から絶えず涙が出ている状態になってしまいます。
そのことが原因で目の周りが茶色く変色してしまい、皮膚炎を引き起こしてしまうことがあります。
この病気にならないようにするには、目の周りの毛をカットしたりして目を清潔にしてあげることが大切です。そして、発症してしまったら炎症を起こさないように涙をこまめに拭き取ってあげましょう。
日本スピッツの迎え方と値段
ペットショップから迎える
日本スピッツはペットショップから迎えることができます。しかし、日本スピッツはそれほどメジャーではないのでペットショップにいるかどうかは、ショップのサイトで確認するか電話で問い合わせるといいでしょう。
ペットショップではサークルかフード、トイレなどを買い揃えることができます。
ブリーダーから迎える
ブリーダーから日本スピッツを迎える際は、見学に申し込むといいでしょう。見学をすれば迎えようとしている犬の親や兄妹の様子が見れます。兄弟同士で遊んでいる様子を見れば、その犬の性格がわかります。
そして、日本スピッツを育てているブリーダーさんから飼育方法やしつけの注意点をアドバイスしてもらうことができます。
保護団体から迎える
保護団体で里親を探している犬は純血種の犬は少ないのですが、なかには迷子になった犬や飼育放棄された犬を保護している団体があります。そのような団体には日本スピッツがいるかもしれません。飼い主さんを探している日本スピッツがいたら、ぜひ家族にしてあげてください。
日本スピッツの値段
ペットショップではあまり見かけない日本スピッツですが、子犬で迎えるときは平均約16~18万円です。ブリーダーから迎える時、親がドッグショーに出るような犬の場合は28万円程になる場合があります。
日本スピッツのかわいい見た目だけでなく性格を理解して迎えよう
愛好家の努力によって穏やかな性格になった日本スピッツですが、ペットショップではあまり見かけることがありません。日本スピッツを迎えたい方はブリーダーに問い合わせてみるといいでしょう。
飼い主さんに従順で賢い日本スピッツは、しつけがしやすいので飼いやすい犬種といえます。日本スピッツでも個体差があり、怖がりな性格の子や活発な子などがいます。
それぞれの性格を把握して、その性格にあった接し方をして日本スピッツとの楽しい生活を送りましょう。
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