秋になるとおいしい果物がスーパーや八百屋さんに並びます。中でも柿は秋の果物の代表格で、栄養価が高いことで知られています。では、そんな柿を犬に食べさせてもいいのでしょうか。今回は犬に柿を与えてもいいのか、与え方について説明していきます。
犬に柿を食べさせても大丈夫!
柿には犬にとって命に関わる有害な成分が含まれていないため、柿を犬に食べさせることは基本的に問題ありません。
柿の約80%は水分で、ビタミンCやカテキンなどの優れた栄養が豊富に含まれているため、犬の水分補給や栄養補給にも活用できます。
しかし、健康状態が不安定になったとき、食欲が落ちたり水を飲まなくなることがあります。そんなとき、柿のように適度に甘さがあって水分が多い果物を食べさせることで水分補給や栄養補給ができるため、総合栄養食以外のものを食べさせることも時には必要となるのです。
しかし、柿を犬に食べさせる時はいくつかの注意点があるので、それについても後ほど解説していきます。
まずは柿に含まれる栄養素についてご説明します。
柿に含まれる栄養や成分と効果・効能
ビタミンCで健康な皮膚になる
柿が含むビタミンCの量は果物の中ではトップクラスに入るほどで、一般的にビタミンCが多いとされているミカンやグレープフルーツの約2倍の含有量があります。ビタミンCには抗酸化作用があり、細胞の酸化を防ぎさまざまな病気から身体を守ってくれます。
また、脂肪の代謝を促進して疲労回復やストレスにもよい栄養素です。ビタミンCはコラーゲンの生成に関わるため、犬の皮膚や関節を健康に保つためには欠かせない栄養素です。
βカロテンの抗酸化作用で老化予防
柿に含まれているβカロテンは、抗酸化作用があり風邪予防や免疫力を上げる働きを持っています。そして、βカロテンは体内に入ると必要に応じビタミンAに変わって犬の皮膚や粘膜の健康維持に役立ちます。
また、肺や喉の呼吸器系の働きをサポートする働きを持ちます。βカロテンはビタミンCと一緒に摂取すると相乗効果によって効き目がアップします。
カリウムでむくみ・高血圧予防
カリウムは体内の水分バランスを調整する働きを持っています。そして、利尿作用があり体内の余分なナトリウム(塩分)を排出して血圧を正常に保つ働きがあります。これらの働きから、カリウムはむくみや高血圧、脳卒中などの予防に役立ちます。
タンニンで生活習慣病予防
柿にはポリフェノールの一種であるタンニンが含まれています。タンニンは渋みの成分のことで、抗酸化作用があるので細胞の健康を保ち、血液中の毒素を排出して血流を健康な状態にして新陳代謝に優れています。血液の流れをよくすることで、動脈硬化や高血圧予防が期待できます。
また、タンニンは口臭予防にも効果があり、体内の毒素を排出してくれるので体臭の予防にも効果が期待できます。
食物繊維で腸内環境改善
柿にはペクチンという食物繊維が豊富に含まれています。ペクチンは多くの果物に含まれていますが、その働きは悪玉菌の増殖を抑えて腸内の善玉菌を増やすことです。
この働きのおかげで腸内にたまった不要な老廃物を体外へ排出するため、腸内環境が改善されます。これが食べ物からの栄養吸収に役立つため、犬の健康をサポートします。
犬に柿を食べさせるときの注意事項6点
下痢や嘔吐の原因になることがある皮はむいてあげよう
柿に含まれているタンニンは腸を収縮させて働きを抑制するので、適量を摂取した場合は下痢を改善させる効果が期待できます。
しかし、タンニンを多く摂りすぎてしまうと便秘になる恐れがあります。また、柿は食物繊維が豊富な果物ですが、身体を冷やす作用があるため過剰摂取すると下痢をしてしまう場合もあります。
干し柿や熟していない柿はリスクがあるので犬に与えない
柿を干し柿にすると、通常の柿に比べて糖分濃度がカロリーが高くなり、食物繊維も増えるため犬に与えるには適していません。
また、完熟していない柿には「アルカロイド」という成分が含まれています。アルカロイドは植物に含まれる強い毒性を持つ成分なので、熟していない柿を犬に与えないようにしましょう。
柿の種は取ってから犬に食べさせよう
犬に柿を食べさせる時は、種を取り除いてから与えるようにしないと、種が喉に詰まってしまう恐れがあります。食道に引っかかれば自力でなんとかして吐き出せるかもしれませんが、誤って気管に入ってしまった場合、窒息死を招いてしまう恐れもありますので、絶対に種を与えてはいけません。
また、喉だけでなく腸に詰まってしまったら腸閉塞になる場合があるので注意が必要です。種が便と一緒に出てくればいいのですが、腸閉塞になってしまったら早急な手術を行わないと命が危険に晒されてしまいます。
また、
皮も犬にとっては消化しにくいため、実と一緒に食べると消化不良を起こして下痢や嘔吐を引き起こす場合があります。柿の種ほど危険というわけではありませんが、柿を切って上げる際に一緒に取り除いてあげましょう。
消化しづらい固い柿は細かく刻んでから犬に与えよう
犬は食べ物をあまり噛まずに丸呑みして食べる習性があるので、柿を食べるときも出されたサイズのままあまり噛まずに飲み込んでしまう恐れがあります。犬の身体は植物を消化することが得意ではないので消化不良を起こしたり、最悪の場合だと喉や消化器に詰まらせてしまう危険性も潜んでいます。
それらを防ぐためには柿の皮を剥き、種を取り除いて細かく刻んであげるようにしましょう。また、ミキサーを使ってペースト状にしてあげるのもいいでしょう。
腎臓病の犬には柿を与えないよう注意
柿にはカリウムが含まれていますが、カリウムには利尿作用があるので体内の老廃物を排出する働きがあります。しかし、普段よりおしっこの量が多くなるため腎臓病の犬には腎臓に負担をかけることになってしまいます。
柿を食べることでビタミンなどの栄養補給の効果が狙えますが、腎臓にダメージを与えてしまっては命の危険に晒されてしまう恐れもありますので、できるだけ与えないようにしてください。
肥満や糖尿気味の犬にも柿はNG
柿は甘い果物として知られていますが、熟していくほどに糖分が多くなっていきます。カロリーは他の果物に比べると100gあたり約60カロリーと、かなり高めになってしまうのです。そのため、肥満気味の犬や糖尿の気がある犬には、できる限り与えない方が良いでしょう。
柿はゴムアレルギーの犬にも注意
あまり聞きませんが、柿に対してアレルギー反応を起こす場合があります。アレルギー症状としては下痢や嘔吐、目や粘膜の充血、蕁麻疹や痒みなどがあります。重症なアレルギー症状であるアナフィラキシーショックを起こしてしまうと、呼吸困難や意識障害、最悪の場合は死に至ってしまうケースもあるため、アレルギーには細心の注意を払わなければなりません。
また、ゴム製品に含まれるラテックスでアレルギーを起こす犬がいますが、柿に含まれる成分とラテックスの成分の形状が似ているため、たとえ柿アレルギーがなくてもラテックスアレルギーを持つ犬に反応が出てしまう恐れがあります。
犬に初めて柿を食べさせる時は少量にして、体調を確認しましょう。アレルギー反応は食べた直後だけではなく、数時間してから発症したり、数日後に発症することがあるので注意して観察しましょう。
与え方と量に注意して愛犬に柿をあげましょう
犬に柿を与えるときの注意点と栄養、効果について解説してきました。柿はしっかり注意点を守って与えれば愛犬の健康に良い効果を与えてくれます。肥満や腎臓病の犬には注意が必要ですが、飼い主さんが食べているときに欲しがったら適量をあげてもいいでしょう。秋の味覚を楽しめる季節に、愛犬と一緒に柿を味わってみてもいいのではないでしょうか。
ただし、どんな食べ物でも与え過ぎは身体によくありません。柿は豊富な栄養があるのですが、柿に含まれている食物繊維は摂取しすぎると便秘や下痢の原因になることがあります。また、胃腸が弱っているときに与え過ぎてしまうと、腸内細菌の働きによって発酵されたガスが腸内にたまってしまうことがあります。犬に柿を与える時は適量を守り、欲しがってもそれ以上食べさせるのをやめましょう。
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