「ミニピン」という愛称で知られ、愛好家も多いミニチュア・ピンシャーとは、どのような犬種なのでしょうか。
容姿がとても似ているドーベルマンとの接点も気になるところです。
また、世界中のブリーダーから「脱走の芸術家」と呼ばれる理由はなぜなのでしょう。
この記事では、ミニチャ・ピンシャーの歴史や特徴、性格、飼う際の注意点などをまとめました。
ミニチュア・ピンシャーってどんな犬?
愛好家の中では「ミニピン」という名称で親しまれているミニチュア・ピンシャーは、どのような歴史や特徴を持った犬種なのでしょう。
ここでは、ミニチュア・ピンシャーの歴史や特徴を紹介します。
ミニチュア・ピンシャーの歴史
ミニチュア・ピンシャー(Miniature Pinscher)は、ドイツ原産の愛玩犬です。ミニチュア・ピンシャーの先祖はヘル・ピンシェルという中型犬だとされています。
これに「ジャーマン・ピンシャー」「ダックスフント」「イタリアン・グレー・ハウンド」「ミニチャ・シュナウザー」「トイ・マンチェスターテリア」などを掛け合わせ、19世紀ごろに現在の形になったといわれています。
ミニチュア・ピンシャーはよく似た外見からドーベルマンのミニチュア版と呼ばれることもありますが、その歴史はドーベルマンより古く、ドーベルマンとミニチュア・ピンシャーの間に血縁関係はありません。
ミニチュア・ピンシャーはドイツ国内で非常に人気が高く、ドッグショーなどで大変もてはやされてきました。
しかし、第一次世界大戦後、急激に数を減らしてしまいます。
そこで、ミニチュア・ピンシャーの未来は戦争前に輸出された個体にゆだねられることになります。
輸出国の一つであるアメリカでも、徐々に人気が高まり、1929年にはアメリカンケンネルクラブ(AKC:アメリカの愛犬家団体)の認定を受けるまでになりました。
その後も人気を高め、「トイ・グループの王者」との異名まで付けられるほどトイ・グループ(大型犬を小型犬に改良した犬種)の中で人気の高い犬種になっています。
ミニチュア・ピンシャーは未知の人に対し強い警戒心を抱くため、アメリカでは車両の盗難防止や麻薬密売者の護衛犬として使用されました。
19世紀にはいると、ミニチュア・ピンシャーの小型化への改良がなされ、愛玩犬として家庭でも飼いやすいスタイルになりました。
そして、1895年ドイツのケネルクラブにより公認され、1925年に「ミニチュア・ピンシャー」として正式に命名されました。
筋肉質の引き締まった体が特徴!
ミニチュア・ピンシャーは、オスメス共に体高25~30cm、体重4~6kgほどで、体高と体長がほぼ変わらないスクエア体型です。
引き締まった短めの胴体と、長い四肢を持っています。
細身でありながら筋肉質で、「ハックニー歩様」と呼ばれる前足を高く上げて優雅に歩く姿が特徴的です。
被毛は短毛のシングルコートで、光沢があり毛質はやや硬めです。
毛色は「ブラック・タン」「チョコレート・タン」「レッド」の3種類が存在します。
尾や尻尾は生後約3カ月で短く断尾、断耳されますが、国によっては尾や耳のカットは禁止されています。
ミニチュア・ピンシャーはトイ・グループの中では最も運動神経の良い犬種とされています。
ミニチュア・ピンシャーってどんな性格?
運動神経が良く愛玩犬として人気の高いミニチュア・ピンシャーは、どのような性格をしているのでしょう。
初心者でも飼いやすい性格なのかも気になるところです。
ここでは、ミニチュア・ピンシャーの魅力あふれる性格を紹介します。
外交的で好奇心がとても強く、大の遊び好き!
ミニチュア・ピンシャーは運動神経が高く、とても活発です。
家の中でもじっとしているわけではなく、良く走り回って遊びます。
好奇心が強く、世界中のブリーダーから「脱走の芸術家」との異名がつけられるほどです。
また、気になったものにはとことん興味を示し、遊んだりいたずらをしたりすることは日常茶飯事です。
しかし、綺麗好きな一面もあるため、家の中を走り回っても、物を散らかすということはあまりないようです。
とても敏感で、警戒心が強い
もともとネズミなどの害獣駆除のため働いてきたミニチャ・ピンシャーは、敏感で神経質、警戒心が強い一面もあります。
仲間意識が非常に高く、自分が認めた相手や飼い主様に対しては深い愛情を注ぎます。
しかし、その反面で見知らぬ人間や犬などに対しては、例え自分より体が大きい相手でも威嚇をしたり攻撃的だったりするなど、警戒心を露わにすることもあります。
ミニチュア・ピンシャーは、一度警戒した相手に対して、なかなか警戒心を解かない神経質な一面もあります。
勇敢だが、プライドが高い一面も
運動神経が良く活発なミニチャ・ピンシャーは、害獣駆除の仕事をしていただけあり、負けん気が強くとても勇敢です。
自分より体の大きな相手など、何に対しても果敢に立ち向かっていきますので、番犬に向いています。
ただし、プライドが高い一面もあり、小さな子供や小動物に対して強気で支配的な傾向にあるため、同居はあまり向いていません。
オスとメスとでは性格は違うの?
ミニチュア・ピンシャーはオスとメスでも性格が異なります。
個体差があるため必ずしも、断言はできませんが、そのような傾向にあることは確かです。
ミニチュア・ピンシャーのオスの性格
オスはメスよりも甘えん坊な性格をしています。
オスは全体的におっとりしているとも言われますが、縄張り意識が強いため、部屋のあちこちにマーキング(おしっこ)をしてしまう場合があります。
そのため、トイレのしつけはよりしっかりと行う必要があるでしょう。
ミニチュア・ピンシャーのメスの性格
メスはオスより自立しており、より支配的な傾向にあります。
やんちゃな性格の子が多く、神経質な面もあるためしっかりとしつけを行うことが大切です。
性格を生かして上手くしつけましょう!
外交的で好奇心旺盛、敏感で警戒心が強い、勇敢でプライドが高いといった性格を持つミニチュア・ピンシャーは、きちんとしつけを行わないと我がままになり手が付けられなくなってしまう可能性があります。
飼い主様は、ミニチュア・ピンシャーという犬種の性格をうまく生かし、しつけを行う必要があります。
堂々と、一貫したしつけを行いましょう
ミニチュア・ピンシャーはとても賢い犬種ですので、しつけしやすい傾向にあります。
しかし、狩猟犬として働いていたため支配欲が強く、甘やかして育てると我がままで攻撃的になるほか、噛み癖や吠え癖がついてしまい、手が付けられなくなってしまいます。
ミニチュア・ピンシャーをしっかりしつけるためには、まず信頼関係をしっかりと築き、何に対しても飼い主様が主導権を握ることが大切です。
また、飼い主様だけが一生懸命しつけを行っても、ほかのご家族の方が甘やかしていては意味がありません。
ミニチュア・ピンシャーのしつけは、家族全員が一貫して行う必要があります。
焦らずゆっくり行いましょう
ミニチュア・ピンシャーのしつけには、少々根気が必要です。
賢い頭脳を持っていますが、頑固な一面もあるため、なかなか思うようにしつけがはかどらないこともあるでしょう。
しかし、我がままを許してしまえば手の付けられない犬になってしまいます。
また、しつけに入る前に十分に信頼関係を築いておく必要もあります。
警戒心が強いミニチュア・ピンシャーは、自分が認めた相手にしか心を開くことはありません。
ミニチュア・ピンシャーのしつけは叱るのではなく、褒めることが大切です。
叱ってばかりいると、信頼関係を築くことは難しく、警戒心が強まり攻撃的な性格になってしまいがちです。
叱ることは極力控え、少しでも成果が表れればすかさず褒めてあげましょう。
そうすることで、信頼関係を確立しながらしつけをスムーズにしつけを行うことが可能になります。
小さいころから社会化を行い、吠え癖をなくしましょう
ミニチュア・ピンシャーは神経質な性格で、威嚇や警戒心から無駄吠えをしやすい傾向にあります。
無駄吠えをしないようにするためには、子犬の頃にほかの人間や物に慣れさせる、「社会化」の訓練を行うことが重要です。
また、無駄吠えをなくすためには、ただ叱るだけでなく、なぜ吠えたのか原因を突き止め、その都度対策を行うことも必要です。
ミニチュア・ピンシャーがある物や音などに対して吠える際には、なるべく原因になっている物や音を排除することで、吠える原因をなくすことができます。
飼う際の注意点
ミニチュア・ピンシャーは小型犬ですが、初心者には少し癖があり飼うには難しい点もあります。
ここでは、ミニチュア・ピンシャーの特徴を踏まえたうえで、飼う際の注意点を紹介します。
運動不足にならないようにしてあげましょう
ミニチュア・ピンシャーは小型犬ですが、動き回ることが大好きで、中型犬並みの運動量が必要だといわれています。
散歩は毎日2回、それぞれ1時間ほど行うことが理想です。
また、週に数回はドッグランやリードを長くできる場所で自由に走らせてあげることも必要です。
家のなかで走り回って困る場合には、運動量が足りていない場合があります。
ミニチュア・ピンシャーは運動量が足りないと欲求不満になってしまいます。
ミニチュア・ピンシャーのお迎えを検討している方は、毎日しっかり散歩の時間を確保することができないと、飼育は難しいでしょう。
脱走には要注意です!
ミニチュア・ピンシャーは世界中のブリーダーから「脱走の芸術家」と呼ばれるほど活発です。
活発過ぎる余り、家から飛び出してしまうケースも少なくありません。
また、ジャンプ力もあるため、サークルや簡易な柵は飛び越えてしまいます。
顔が小さいという特徴から、首輪が抜けてしまう、ドッグランの柵の下から脱走してしまうといったトラブルも報告されています。
また、リードも簡単な物であれば食いちぎってしまうことがあります。
首輪やリードは頑丈なものを使用し、ドッグランなどは事前に脱走されてしまうような場所がないか確認することが必要です。
ほかにも、万一の脱走に備え、迷子札やマイクロチップなどを装着しておくと安心です。
まとめ
ミニチュア・ピンシャーはドーベルマンのようなスタイリッシュな体型と、元気に動き回るエネルギッシュな可愛らしさで、海外を始め日本でも愛好家が多い犬種です。
性格は非常に活発で運動神経が良く賢い反面、神経質で頑固な一面も持ち合わせています。
ミニチュア・ピンシャーの飼育で重要なのは、信頼関係を築くことです。
そのため、ミニチュア・ピンシャーの飼育には、しっかり時間をかけられる方や、一緒に運動することが好きなアウトドア派の方などが適しています。
逆に小さなお子様やお年寄り、小動物のいる家庭や、狭い部屋での飼育には不向きと言えるでしょう。
しっかりと信頼関係を築き、ミニチュア・ピンシャーと一緒にアクティブで楽しい毎日を過ごされてみてはいかがでしょうか。
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