犬を飼う上で、しつけをすることはとても重要なことです。基本的なしつけにはお座りや待て、伏せなどがあります。特に伏せは犬の動きを制限して落ち着かせるのに有効です。
ということで今回は伏せについてその重要性などをご紹介させていただきます。
「伏せ」をさせるそもそもの意味
伏せは基本的なしつけの一つですが、なぜこれが重要なのかということはよく知らないという方も多いでしょう。実は犬にとっても人間にとってもよい効果が期待できるのです。
愛犬のリラックス効果にも有効的
「伏せ」の姿勢をとると、体重を支えていた前足の筋肉や後ろ足の筋肉が緩和され、重力から解放されて自由になります。体の重さがなくなるので、のんびりとリラックスできるようになるのです。
人間も一日立ちっぱなしの仕事を終え脱力すると思い切りくつろげますが、犬の場合はこれが伏せの姿勢というわけです。犬がいつも元気に走り回っている姿も見ていて楽しいものですが、興奮していると感じたら伏せをさせ落ち着かせてあげましょう。
勝手な行動を防ぐためにも必要なしつけです
伏せは犬の気持ちを落ち着かせる重要なコマンドですが、人間にとってしつけという意味でも大切な役割を持つものです。
何かに噛みついたり暴れたりして興奮すると、犬はなかなか制御ができなくなります。これを抑えようとお座りをさせることもあるかもしれませんが、お座りでは前足が立っているので動こうと思えばすぐに動くことができ、あまり効果がないのです。
しかし伏せをさせておけば、お腹や肘が地面と接しているのですぐに立ち上がることができません。そのため、犬の問題行動を防ぐ目的でも便利なコマンドと言えます。
伏せの教え方
伏せが犬にとっても人間にとっても効果的なしつけであることを紹介しましたが、実際にはどのように覚えさせればいいのかわからないという人もいるでしょう。実は伏せのしつけは、そこまで難しいものではありません。
伏せをしつける手順
伏せをしつけるためにはまず、犬が集中しやすい環境を作ることが大切です。窓が開いていたりテレビがついていたりすると気が散ってしまう可能性があるので、なるべく雑音のない状態を作ってあげるようにしましょう。
準備ができたらご褒美に与えるおやつを用意して、まずお座りのコマンドを出します。おやつを犬の鼻先に出し、注目しているのを確認したら、そのまま斜めに地面まで下ろすように動かしてください。犬がおやつを追って顔を下げ、伏せの姿勢になったらすかさず褒めておやつを与えましょう。これを何度か繰り返すことで伏せを覚えさせることができます。
リードを使って覚えさせる方法
伏せのトレーニングはおやつを使うのが効果的ですが、おやつ無しでもリードを使って教えることもできます。
その場合はまず犬にお座りの姿勢をとらせ、リードをつけて犬の前に垂らし、足で踏みつけて持ち手の部分を少しずつ引っ張ります。こうすると犬がリードにひかれて顔を前に出す形になり、そのまま伏せの姿勢をするように導くことができるのです。
伏せができたらこちらもすぐに褒めて、ご褒美を与えて喜ばせてあげましょう。
できたらしっかり褒めてあげましょう
伏せのトレーニングにかかわらず、犬をしつける際には必ずご褒美を与える用意をしましょう。上手にできた時にすぐさま褒めてあげれば、犬も嬉しくて「これはいいことなんだ」と学習し、次からもスムーズにできるようになるのです。
ただ褒める際にはタイミングも重要なので、誤ったタイミングで行わないように気をつけましょう。伏せをしたその瞬間に褒めることが効果的で、遅れて褒めてしまうと犬は何を褒められたのかわからなくなってしまいます。犬の様子をしっかり見ながら、できた!というタイミングでしっかり褒めてあげることが大切です。
わんちゃん自身にも「伏せ」の意味を理解させましょう
伏せのしつけをする際には、飼い主さんが一人で頑張るのでは効率的とは言えません。わんちゃんは頭が良く、人間がしっかり教えてあげれば理解してくれる生き物です。「伏せ」をなかなか覚えずにやきもきしてしまうこともあるかもしれませんが、焦らずにしっかりわんちゃんと向きあって根気よく教えてあげましょう。
何をどうしたらご褒美がもらえるのか、何をどうしたら飼い主さんが喜んでくれるのか、そういうことをきちんと犬に理解させることが大切です。
指示していないのに伏せをした場合の犬の心理
伏せのコマンドを覚えさせることができたらわんちゃんとのコミュニケーションもとりやすくなるでしょう。しかし、こちらが指示していないのに犬が自然と伏せの姿勢をしている時もあります。そんな時、わんちゃんはどんなことを考えているのでしょうか。
心を落ち着かせようとしている
わんちゃんは興奮状態にあるとき、自分で気持ちを落ち着かせようとして伏せの姿勢をとることがあります。伏せをするとリラックス状態になりますから、犬も荒い呼吸を整えて心を落ち着かせることができるのです。
また、他の犬とはしゃいで遊んでいる時に伏せをしたなら、自分はもちろん相手も落ち着かせようとして行っていると考えられます。「まあまあ、一旦落ち着こうよ」とそんな感じで相手にリラックスしようと促しているのです。
犬が興奮してしまうと喧嘩に発展して相手に怪我をさせてしまうこともあるので、興奮時にしっかり伏せの命令を聞いてくれるように日頃から繰り返し練習しておくようにしましょう。
敵対心がないという証拠の表れである
散歩中に他の犬とすれ違う時や相手の犬がこちらに向かって吠えている時に伏せをするなら、相手に対し「敵対心がない」という意思を示している可能性があります。
「伏せ」のポーズは服従を意味するものでもありますから、素早い動きが取れない伏せの姿勢をとることで「喧嘩をするつもりはない」ということを示しているのです。これは縦社会の犬の世界でも上下関係なしにとられる行動とされています。
また、相手の犬に好意を持っている場合にも伏せをすることがありますが、これも「攻撃をするつもりはない」「仲良くなりたい」という気持ちの表れです。
飼い主の指示や許しを待っている
伏せの姿勢というのは相手のことが上だと認めており、服従する時に見せる行動です。お腹を地面につけて相手を見上げる形になるので、「自分はあなたよりも立場が下で、服従しています」ということを示すことになるのです。頻繁に飼い主さんのそばで伏せの姿勢で落ち着いているわんちゃんは、主人への忠誠心が高い犬と言えます。
また、犬は飼い主さんに怒られた時などにショボンとして伏せている時がありますが、これは許して欲しいと感じているからです。また、散歩に行きたいけれど暴れると飼い主さんに怒られるとわかっている犬は、伏せていい子にしていることで飼い主さんが散歩に連れて行ってくれるのを待つこともあります。
不満や物足りなさを感じている可能性も?
犬が伏せをするときには、何か不満や物足りなさを感じている場合もあります。思い通りにならなかったときに人間がふてくされるのと同じように、何か希望を飼い主に伝えようとして聞いてもらえなかったときに犬は伏せて拗ねることがあるのです。
もし忙しくて構ってあげられなかったり、怒り過ぎてしまったなど飼い主に原因があるなら改善するように努めましょう。犬が不満を感じたままになってしまうとストレスをためこませてしまうこともあるので、注意が必要です。
ただ、犬がわがままでふてくされている場合はこちらも毅然とした態度で接する必要があります。犬の機嫌を直そうと甘やかしてしまうとさらにわがままになってしまうこともあるので、しばらく無視するなどして様子をみましょう。
まとめ
今回は犬のしつけの一つである伏せについて紹介してきました。伏せは犬と人の関係性を適切に保つための重要なコマンドです。伏せをすることで犬もリラックスすることができるので、興奮しているなと感じた時には伏せをさせて落ち着かせてあげるようにしましょう。
伏せのしつけ方法も意外と簡単なので、根気よく繰り返して教えてあげることが大切です。しっかりと伏せを教えて、愛犬との素敵な関係を築きましょう。
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